韓国の大手ゲーム開発会社NCSoftが、経営の立て直しを図るため、全社的な大規模リストラといくつかのプロジェクト中止を発表しました。これは、営業利益の大幅な減少と『Throne and Liberty』や『リネージュ』シリーズを含む複数のタイトルでの収益低下が直接の原因とされています。
NCSoftの経営危機:売上減少と営業利益の75%減少
NCSoftは、今年の第2四半期に前年同期比で75%もの営業利益の減少を報告しており、これはモバイルゲームやPC向けMMOの売上が期待に届かなかったことに起因しています。
特に注目を集めた『Throne and Liberty』は、リリース直後には一定の成功を収め、全世界で30万人以上のプレイヤーを獲得しましたが、長期的なプレイヤー維持には苦戦しており、徐々にユーザーが離れているようです。さらに、グローバル展開におけるAmazon Gamesとの収益分配が、NCSoftの利益に大きな影響を与えています。
この厳しい状況下で、NCSoftは『Project M』という期待の新作アクションゲームの開発中止も決定しました。このプロジェクトは、リアルタイムでの意思決定要素と3人称視点のシューティングを融合した野心的なタイトルとして、特に技術的な革新が期待されていました。
Unreal Engine 5を採用し、リアルなキャラクターモデリングや表情の細かい表現でプレイヤーを魅了するはずでしたが、経営難により開発が中断される結果となりました。
NCSoftは、これに加え、10月に早期アクセスとしてリリースされた『Battle Crush』も終了することを発表。ゲームのサーバーは2024年11月29日に閉鎖される予定です。この一連の動きにより、約16,000人もの社員がすでに解雇されており、その中には開発者やエンジニア、さらにはマネージャー職も含まれています。
NCSoftの最高経営責任者であるキム・テクジン氏とパク・ビョンム氏は、このリストラに関する声明を発表し、今回の措置は単なる一時的な対応ではなく、会社の長期的な競争力を維持するための「高強度の再構築」が必要不可欠であると説明しました。今後もさらなる経営再編が行われる可能性があることを示唆しており、経営陣は「短期的な解決策では現状を乗り越えることは困難」と述べています。
『Throne and Liberty』は現在も一定の人気を維持しており、Steamでは同時接続プレイヤーが150,000人から200,000人の間で推移していますが、ユーザー数は減少傾向にあります。これにより、NCSoftは今後の収益拡大とプレイヤー維持に向けた新たな戦略を模索する必要に迫られています。
NCSoftのこの決定が、同社の今後のゲーム開発や業界全体に与える影響は大きいです。韓国のゲーム業界におけるリーダー的存在であったNCSoftが、厳しい経営状況にどう対応していくか、またその創造性と革新性が今後どのように展開されるかに、業界関係者やゲーマーからの関心が高まっています。