Activisionは、今年の5月、DEI(多様性、公正性、包括性)推進において組織全体で包括性と多様性を強化する一連の施策を従業員向けに発表したと𝕏ユーザーのGrummz氏が報じています。同社は従業員向けの成長機会を増やし、社内文化を多様性のあるものへと変革することを目指しています。
具体的には、メンターシッププログラムの展開、従業員向けの学習プラットフォームの提供、そしてマーケティングチームと共同で多様性を反映したゲームコンテンツの開発を行っています。これらの施策により、Activisionは社内での多様性と包括性を推進し、従業員の学びや成長を支援する新しい取り組みを進めています。
ゲームコミュニティからの反発、支持の声も
しかし、この取り組みは必ずしも一方的に受け入れられているわけではないようです。特に、オンラインのゲームコミュニティでは、この動きに対する批判が噴出しています。Redditの「KotakuInAction」では、ActivisionのDEI施策について激しい議論が行われており、コミュニティメンバーの多くは、これを「過剰な政治的正しさ」だとみなしています。
あるユーザーは、アイデンティティ政治が宗教のように企業文化に浸透していると批判し、特に「Call of Duty」のような軍事シューティングゲームに多様性を持ち込むことに対して反発を示しています。彼らは、軍事的なテーマを持つゲームにおいて、DEIの施策が不適切であり、ゲーム体験そのものを損なうと感じています。
また、他のユーザーからも、軍事ゲームにおける現実の軍隊が必然的に非包括的であることを考慮すると、こうした施策がゲームのリアリティを歪めるとの声が上がっています。彼らは、軍事的な基準が性別や身体的能力に基づいている現実と、DEIの概念がゲーム内に反映されることが不整合であると感じています。
一方で、Activisionのゲームが依然として楽しめるものであることも指摘されており、多くのゲーマーが「Call of Duty」シリーズや「クラッシュ・バンディクー」などの人気フランチャイズを楽しみ続けています。Activisionのゲームデザインは、過去の成功を引き継いでおり、現行のゲームも高品質であると評価されていますが、それでもDEIの取り組みが余計なものであると感じる層は少なくありません。
このように、ActivisionのDEI施策に対する反応は二分しており、一部のコミュニティメンバーは、これが企業の自己満足やイメージアップのための行動に過ぎないと批判しています。
彼らは、DEI推進が企業内のクリエイティブなプロセスを妨げ、実際のコストや効果が不透明であると感じており、施策そのものが過大に評価されているという見解を示しています。このような意見は、DEI施策がどれほど実際の成果を生んでいるのか、また企業がそれをどう説明しているのかに関する不満として表れています。
今後もActivisionは、DEIの取り組みを推進し続ける方針です。企業としての社会的責任を果たしながら、次世代のゲーム開発者やクリエイターにも多様性を重視した教育と機会を提供し、ゲーム業界全体の進化に貢献する意欲を示しています。しかし、この取り組みがゲーマーコミュニティ内での批判をどのように克服し、また企業がどのようにDEI施策とゲーム体験のバランスを取っていくかが、今後の課題となるでしょう。