ウクライナのGSC Game Worldが開発を進める『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』。テクニカルプロデューサー、イェヴヘン・クーリック氏がインタビューで最新のゲーム情報を明かし、ゲームが持つ文化的な背景や技術的な挑戦、そして新たに発表されたコンソール向けModサポートについて語りました。
Unreal Engine 5.1のカスタムバージョンで実現する高精度グラフィック
「S.T.A.L.K.E.R. 2」は、待望のコンソール版でのMod対応が決定。これによりPC版同様に、XboxユーザーもModを使ってゲーム体験を自由にカスタマイズできるようになります。
クーリック氏によると、プレイヤーコミュニティからのMod機能に対する期待に応え、専用のModツールキットも提供予定とのことです。このツールキットでは、小規模な調整から大規模な全体変換まで幅広く対応できる設計となっており、プレイヤーが自分だけの「S.T.A.L.K.E.R.」体験を構築できるようになります。
技術面では、最新のUnreal Engine 5をベースに開発が進んでおり、独自にカスタマイズされた「Unreal Engine 5.1 GSC」バージョンを採用しています。これは、XboxとPCで安定したFPSとパフォーマンスを実現するための最適化を施し、グラフィックスやレンダリング機能を強化したものです。特に「Lumen」や「Nanite」など、最新技術の導入により美麗でリアルな描写を可能にしています。
Unreal Engine 5.1を基にしていますが、社内では「5.1 GSC」と呼んでいます。非常に広大な世界を作るために、基本のUnreal Engineにあるいくつかのツールを改造し、必要に応じて書き直し、アップグレードしました。
例えばXboxやPCでの最適化を満たすために、レンダリングスレッドやCPU最適化、さらに多くのメモリ関連の最適化など、多くの変更を加えました。現在は仕上げの段階に非常に近づいており、ゲームが常に安定したFPSで動作し、安定したパフォーマンスを提供できるようにすることを目指しています。
イェヴヘン・クーリック氏
「S.T.A.L.K.E.R. 2」では、ウクライナの文化やアートが随所に反映され、ゲーム内での没入感がさらに深まります。マップ全体にはウクライナの伝統的なモザイクアートが再現されており、プレイヤーは探検中に古代と現代のウクライナを象徴するアートや建築を目にすることができます。また、作中のラジオでは現代のウクライナ音楽が流れるなど、リアリティと独自の文化的要素が見事に融合されています。
プレイヤーの選択や行動が物語の展開に影響を与える「非線形ストーリー」も、「S.T.A.L.K.E.R. 2」の大きな魅力の一つです。新たに導入された「AI Lifeシステム2.0」により、エリアごとに異なる敵や生物が自然に生息しており、プレイヤーの視界外でもイベントが進行します。これにより、他のNPCやモンスター同士の戦闘の跡を目にするなど、常にダイナミックで変化に富んだゲームプレイを体験できます。
GSC Game Worldは、ロシアのウクライナ侵攻により多くの開発スタッフが困難な状況に直面しながらも、「S.T.A.L.K.E.R. 2」をリリースに向けて着実に準備を進めているとのことです。同社はウクライナ文化をグローバルに発信する手段としても本作を重要視しており、その一環としてゲーム内からロシア語音声やロシア地域での販売を取りやめています。
また、開発チームはリリース後のコンテンツ展開も視野に入れており、DLCやポストローンチのコンテンツロードマップを計画しています。これにより、プレイヤーがリリース後も新たな要素や物語を楽しめるよう、さらなる追加要素が期待されています。GSC Game Worldのスタッフは、「リリース後のプレイヤー反応が楽しみであり、多くのプレイヤーが異なるストーリー体験を共有してくれることを願っている」と話しています。
手作業で設計された広大なオープンワールドは、プレイヤーに探索と発見の楽しさを提供し、戦闘システムもクーリック氏自らが「銃撃戦とサウンドデザインが特にお気に入り」と語るほど、緻密に作りこまれています。すべてのアニメーションや音響は本作に合わせて最適化されており、シリアスで緊張感のある戦闘体験が期待できるでしょう。
「Stalker 2」は、旧作ファンはもちろん、新規プレイヤーも魅了するユニークな要素が詰まった作品となっており、リリースが待ち遠しいタイトルです。