2020年12月にリリースされた『サイバーパンク 2077』は、華々しい期待に反して、多くの技術的問題を抱えたまま世に出されました。特に、PlayStation 4やXbox Oneといった旧世代機でのパフォーマンスは著しく低く、多数のバグやクラッシュが報告され、プレイヤーからの不満が集中しました。
メモリリークの影響でゲームがクラッシュ寸前に
その背景には、開発元CD Projekt REDが直面した難しい選択がありました。同社のエンジンプログラマー、チャールズ・トランブレイ氏がEurogamerのインタビューで明かしたところによると、開発チームは“ゲームのクラッシュ”と“軽微なバグの放置”のどちらかを選ばざるを得ない状況に直面していました。
特に、旧世代機ではメモリリークが深刻で、RAMの不足が原因で他のプロセスが正常に動作できない事態が頻発していました。そのため、チームはTポーズのような軽微なグラフィックバグを許容することで、ゲーム全体がクラッシュしないようにしたのです。
当時の状況についてトランブレイ氏は「Tポーズを選んだ理由は、完全なクラッシュがプレイヤーの進行を大幅に妨げる恐れがあったからです」と説明しています。この決断は、多くのプレイヤーからの批判を受けましたが、ゲームの進行が完全に失われるよりは良い選択肢だったというのが、開発チームの判断でした。
さらに、パンデミックによるリモートワークの影響も開発スケジュールに悪影響を与え、物理的な対話が不可能になったことも大きな要因となっていました。トランブレイ氏は、発売後最初の月を「人生で最悪の月」と振り返っており、この苦い経験が次回作にどのような影響を与えるかが注目されています。
本作はその後、数多くのパッチやアップデートを経て、現在では非常に高評価を得ていますが、当時のリリース時の混乱はプレイヤーに深く刻まれています。CD Projekt REDは、次の大型プロジェクトでは同様の失敗を繰り返さないことを誓っています。