ゲーム業界を代表するスタジオ、CD Projekt REDが「深刻な問題に直面している」との報道が、一部のメディアやSNS上で広がり、ファンや業界関係者の間で波紋を呼んでいます。
しかし、これに対してスタジオの共同CEOであるミハウ・ノヴァコウスキー氏がX(旧Twitter)で真っ向から反論し、これらの噂が根拠のないものであることを明確にしました。
CD Projekt REDの危機説は事実無根 – 共同CEOが直接反論
この騒動の発端となったのは、YouTubeチャンネル「ENDYMIONtv」で公開された動画です。この動画では、匿名の情報源をもとに「CD Projekt REDが現在、重大な問題を抱えている」という主張がなされ、特に人材の流出や開発の停滞が指摘されました。
情報源によると、『ウィッチャー3』に携わったベテラン開発者が多数スタジオを離れ、技術力が低下していること、またRed Engineの代わりにUnreal Engine 5が採用された背景には、これらの技術的問題があるとされています。外部の請負業者に依存するようになったことも、CD Projekt REDの開発体制に悪影響を及ぼしているとのことです。
これに対してノヴァコウスキー氏は、「我々は今、過去数年で最も低い人材の離職率を記録しており、スタジオは健全な状態にある」と述べ、人材流出の問題は誇張されたものであることを強調しました。
また、CD Projekt REDが採用を多様性(DEI)に基づいて行っているとの指摘に対しても、「我々の採用は完全に才能と実績に基づいており、これがスタジオの強みです。ゲームも同様に、私たちの芸術的ビジョンに基づいて開発されている」と反論しています。Unreal Engineを導入した理由についても、技術的な効率化を目指しての選択であり、スタジオの方向性に問題はないと強調しました。
さらに、CD Projekt REDの請負業者への依存が問題視される中で、特にウィッチャー3のディレクターがスタジオを離れたという報道も大きな話題となりました。ノヴァコウスキー氏はこれについて、「確かにディレクターは退社しましたが、それは2年以上前のことであり、現在の開発体制に影響はありません」と語り、報道が事実を誇張していることを強く批判しました。
ノヴァコウスキー氏のこの発言には、同じくCD Projekt REDのアソシエイトゲームディレクターであるパヴェウ・サスコ氏も賛同し、SNS上で「私が望むのはただ一つ、あなたを深く感動させる素晴らしい芸術作品を作ること」とコメントしています。また、これに対して多くのファンもスタジオを支持する声を上げ、デマ情報や誤報に対する不満を表明しました。
スタジオの運営方針を巡る議論が展開
しかし、ENDYMIONtvの投稿者であるエンディミオン氏はノヴァコウスキー氏のポストについても反論を展開、CD Projekt REDが「典型的な西洋のゲーム会社の道をたどっている」と指摘し、特に同社がDEIを重視している一方で、ノヴァコウスキー氏の発言が矛盾している点を疑問視しました。
エンディミオン氏は、具体的な名前を挙げてCDPRから多くの重要なクリエイターが離職していることを強調。特に『ウィッチャー3』のディレクターであるコンラッド・Tや、クエストディレクターであるマテウシュ・Tなどの離職が大きな痛手となっていると述べ、CEOの「最近は人材流出がない」という発言に疑問を投げかけました。
また、CDPRが「多様性・公平性・包括性(DEI)」を採用方針として積極的に推進していると主張。これに対してCEOは、同社が才能と実績に基づいた採用を行っていると反論しましたが、エンディミオン氏はCDPRのウェブサイトや社内ビデオがDEIを強調している事実を挙げ、CEOの発言を「虚偽」と批判しました。
さらに、CDPRに限らず、ゲーム業界全体が多様性を重視するあまり、才能や実績に基づいた判断が行われなくなっていると非難しました。この流れが業界全体の質の低下や混乱を引き起こしているとし、彼自身は引き続きこうした問題に対して声を上げ続けると語っています。
CDPRのCEOは、同社が引き続き実力に基づいたゲーム制作を行っていると主張していますが、エンディミオン氏の主張が広まる中で、同社がどのように対応していくのかが注目されています。ゲーム業界全体でも、DEI方針に関する議論が今後さらに白熱することが予想されます。
CD Projekt REDは現在、期待の集まる「ウィッチャー4」や「サイバーパンク2077」の続編を含む複数のプロジェクトに取り組んでいます。最近の報告では、これらのタイトルは順調に開発が進行しており、特に「ウィッチャー4」は近日中に本格的な開発段階に入るとのことです。